「水環境研究ユニットの概要」

 「水は生命の源」という言葉には多様な意味があります。第一に、水(H2O)は生命活動に不可欠の物質です。第二に、水は熱容量が大きく、温度を安定化し生物の生息基盤をつくります。第三に、水は親和力が高く、様々の物質を溶解して生物に供給します。第四は、水の流動による物質やエネルギーの輸送です。水の輸送機能は、環境中に物質循環系を構成して多様な生命活動を結びつけ、生態系というシステムの基盤をつくります。

 水環境研究ユニットでは、水理学(hydraulics)、水文学(hydrology)を基礎学問として自然環境における水の流動と物質循環を解析し、地域水環境の成り立ちを調べるとともに、それに対する人間活動のインパクトを研究しています。また水資源、水災害、水汚染といった社会問題を上記の観点から捉えることにより、総合的な環境アセスメントおよび環境計画のための知識・技術を蓄積していきます。

 本研究ユニットでは、「フィールド研究」を重視しております。環境問題は、それぞれの地域における固有の気象・水文・社会条件のもとでのシステム変調であり、具体的なアプローチが不可欠であるからです。このことは発展途上国などの環境問題解決に日本が貢献していく上での基本でもあります。我々は、環境問題を抽象的に論じるのではなく、具体的解決を目指す研究者・技術者を育てたいと考えています。

 我々の主な研究手段は、「現地観測」、「画像解析」および「数値シミュレーション」です。環境問題を具体的に把握し理解していく上で、現地観測を通した環境状況の的確な把握が基本となります。そこで全ての学生が何らかの現地観測に参加し実際の環境現象に触れています。また、衛星画像や航空写真の解析と、政府機関等が収集している環境データの解析と画像化により、広範囲の環境状況を把握していきます。

 しかし、環境現象は時空間的に変動し、また計測困難な項目も多いため、現地データのみから全てを知ることはできません。そこで計算機の中にシミュレーションモデルを構築して、現象のダイナミックスを具体的に可視化し、現地データと比較して現象を総合的に理解するとともに将来予測に役立てていくのです。本研究ユニットで用意する基本的シミュレーションモデルを、学生は自分の研究課題に合わせて改良し使用します。

 本研究ユニットでは、ハイブリッドな環境専門家を育成することを目的とし、複数指導教員制により専門の異なる教員のアドバイスを受けられるようにしています。このHPでは、研究手法ごとの研究テーマの紹介のページと、教員ごとの紹介のページにジャンプできるようになっていますが、それらは本研究ユニットの活動の縦糸と横糸の関係になっています。時間があれば是非両方からご覧ください。